『今日だけ…今日だけでいいから』
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私の写教
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不可思議/wonderboy
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『 生きる 』
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生きているということ
生きているということ
生きて生きて生きて生きて
生きているということ
のどが渇き
木漏れ日が
まぶしいということ
ふっと或るメロディを
思い出すということ
生きているということ
生きているということ
鳥は羽ばたき
海はとどろき
カタツムリは
はう と いうこと
あなたと手をつなぐこと
ことごとく 今回も 言葉だけじゃ足りない
有りもしない風景を 思い描いては
迷うということ
悩むということ
生きることに対して
問うということ
生きているということ
それは
ミニスカート
プラネタリウム
ヨハン・シュトラウス
ピカソ
全ての美しいものに出会うということ
眠るということ
目覚ましよりも 先に 目を覚ました まぶた
窓枠いっぱいに 空の青が 広がり
あふれ出す 光り
溶けるような 陽だまり
顔を洗う 水道の水が ひんやりと冷たい
経度 から 経度へ
朝をリレーしていく
知らぬ国の誰かから渡されたバトンを
しっかりと受け取り
また 知らぬ国の誰かへ
毎日 朝がくるという ありふれた 奇跡
花先から 一滴
落ちた雫が 水たまりの中の青空を揺らした
十日ぶりの快晴にも 歓声は上がらない
僕なんて もう 躍りだしたいくらいなのに
読みかけの小説
古ぼけた腕時計
余計な荷物は 何ひとつ持たずに
洗濯物を干したら 出かけるとしようか
今日は何を着ていこうか
さぁ 行こう
ドアを開けて 一歩 外に出たなら
透明な空気をいっぱいに吸い込み
呼吸するということ
そんなことも思えば
最近は ずっと 忘れていた気がする
さぁ行こう
駅まで 自転車じゃなくて
たまには 歩いて 行ってみようか
急がないということ
そんなことも思えば
最近は ずっと 忘れていた気がする
手を繋ぐ 親子
寄り添う カップル
各駅停車が 景色達を 追い抜く
心地よい まどろみ
安らかな うたた寝
ウォークマンは
いつだって僕の好きな歌を歌う
読みかけの小説は少しだけ進んだ
古ぼけた腕時計も少し時を刻んだ
待ち合わせ場所まで
あと 15分
もうすぐ 君に 会える
生きているということ
生きているということ
生きて生きて生きて生きて
生きているということ
泣けるということ
笑えるということ
怒れるということ
自由ということ
生きているということ
生きているということ
遠くで 犬が吠え 地球が回り
たった今 どこかで 産声があがり
兵士は どこかで 傷つくということ
生きているということ
生きているということ
生きているということ
生きているということ
たった今 この 瞬間が 過ぎていくということ
いつかは死ぬと わかっていながら
永遠なんてないと わかっていながら
それでも ひと は 愛する ということ
あなた の 手 の ぬくみ
いのち と いうこと
不可思議/wonderboy『生きる』より
私の最後の写教
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